薬物依存の真実|薬物と依存症の心理学実験と調査−原因と対処法

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    やめられない

    何かやめたいのに、自分ではどうにも止められない。

    誰しもそんな経験があるのではないでしょうか。

    そんな「やめられない」が生活に支障をきたしてしまうところまでいくと”依存症”と認定されてしまいます。

    やめられずに苦しむ依存症

    薬物、スマホ、お酒、タバコにギャンブル、現代には様々な依存症が存在しますが、この依存症の原因はなんなのでしょうか。

    この記事では、薬物依存に関する研究や実験を通して、その原因と解決方法を皆さんにお伝えしていきます。

    薬物依存に関する実験と研究の歴史

    1960〜70年代にかけて、薬物依存の研究が活発に行われました。

    当初、19世紀には、麻薬による依存性には「意志の弱さ」にも原因があると考えられていました。

    しかし、20世紀になると麻薬は、”脳の神経回路”に作用することが明らかになり、麻薬の依存性は麻薬自体の科学的な構造によるものであるとされるようになりました。

    脳に作用する構造

    そして現代、薬物依存、さらには依存症の原因がどこにあるとされているのか、それは”文化・環境”です。

    薬物依存に関する研究内容と実験環境

    薬物依存の研究目的

    研究内容は、実験動物を薬物依存状態にし、その欲求・耐性・離脱症状を数値化して測定しようというものです。

    その中でも、よく実験動物の対象にされた動物にラットがいます。
    ラットの神経系は人間のそれとよく近いため、依存症の実験に適しているとされたからです。

    人間と似た脳構造を持つラット

    薬物依存での実験環境

    実験の中には異質な実験も多く行われていました。

    • カテーテルで胃に直接薬物を注入
    • 拘束椅子に猿を縛り付けて実験
    • 注射銃を打ち込んでLSDを投与など

    ある種の薬物では、動物は死に至るまでその神経毒性物質を自ら摂取し続けるという証拠も提示されています。

    次の実験では、麻薬を動物に用いた実験から、同じ環境下であれば人間にも動物と同じ現象が起きてしまう可能性がわかります。

    スタンフォード大学「アヴラム・ゴールドスタイン教授」の自己注射実験

    20世紀の”麻薬の依存性は麻薬自体の科学的な構造によるものである”という見方が主流となってくると、それに関連した実験が行われるようになりました。

    代表的なものが、スタンフォード大学のアヴラム・ゴールドスタイン教授が1979年に行った「自己注射実験」と呼ばれるものです。

    1匹の猿をケージに入れ、注射針を挿して固定し、ケージの中のレバーを押すと猿に挿された注射針からモルヒネが投与されるようにする。

    すると猿はモルヒネに依存性を示し、レバーを押して自分にモルヒネを注射するようになる。

    しかも規則的にレバーを押すタイミングを確立し、それを通常の活動よりも優先するようになる。

    これは猿だけではなく他の動物、例えばラットでも同様の依存性を示すとゴールドスタインは主張した。

    この実験から、人間社会において麻薬が全く歯止めが無い状態で濫用された場合、人においても同様の問題が起こる可能性があることが認識されました。

    薬物依存に陥る人間

    しかし、これまで行われてきた実験に対して、別の視点から研究を行うことによって、新たな理論を生み出したのが次の実験です。

    次の実験からは、麻薬依存症の原因は麻薬の依存性よりも環境に大きな原因がある可能性が見えてきます。

    カナダ人心理学者「ブルース.K.アレクサンダー」の依存症実験

    1981年、アレクサンダーは2人の心理学者と共同で研究を行いました。

    カナダの心理学者ブルース.K.アレクサンダー

    アレクサンダーらの仮説

    猿を何日も椅子に縛り付けたまま、薬物による快楽を得る実験では、縛り付けている拘束が与える社会的・身体的・心理的な影響力がわかるだけで、薬の影響力については何もわからない。

    そうではなく、動物を理想的な環境下で生活させて薬物を与える実験を行い、その上で薬物依存が避けられないかどうかを観測しよう。

    もし、この環境下でも薬物依存が生じれば、薬物依存の原因は薬物にある。

    しかし、薬物依存が生じなかった場合、薬物依存の原因、問題点はおそらく薬物の化学的性質よりも”依存する環境・文化”の方にあるだろう。

    ラットや猿の薬物依存に対する反証にも

    ラットや猿が麻薬に依存性を示すのも麻薬の依存性のせいではなく、金属製のケージに一匹で隔離されたことに原因がある。

    実験動物を苦痛のない環境に置いて同じ実験をすれば、麻薬を用意しても依存性を示さないはずである。

    拘束されて実験を受ける猿

    薬物依存の原因を特定するための”ラットパーク実験”

    アレクサンダーら3人は、前述した理論を実証するために次の実験を行いました。

    ラットを1匹だけ入れた普通の実験用ケージと、普通のケージの200倍の広さの中に十分な食料と、ホイールやボールなどの遊び場所と、つがいのための場所などもある「ラットパーク」を用意し、雌雄のラットを16-20匹入れた。

    それぞれ、普通の水とモルヒネ入りの水を用意し、モルヒネを混ぜた水は苦いので砂糖を混ぜて甘くした。

    実験用ケージのラットは砂糖が少なくてもモルヒネ入りの水を好んで飲むようになった。

    ラットパークのラットはどんなに砂糖を入れてもモルヒネ入りの水を嫌がった。

    実験用ケージではモルヒネに依存性を示すようになったラットも、ラットパークに移すと普通の水を飲むようになった。

    実験用ケージで長期間も強制的にモルヒネ入りの水を飲まされ中毒の状態になったラットは、ラットパークに移されるとけいれんなどの軽い離脱症状を見せたが、普通の水を飲むようになった。

    薬物依存実験で使われたラットパーク

    この実験結果から、”依存症の原因は薬物自体の依存性ではなく、孤独やストレスなど周囲の環境によるもので、その苦痛を軽減するために人は麻薬に手を出すのだ”ということが実証されたように思います。

    薬物依存に対する世間の主流

    しかし、ラットパーク実験の成果は現在でこそ有力視されてきましたが、麻薬の依存性を否定する研究であったため、当時かなり批判を浴び、アレクサンダーの研究は大手論文誌であるネイチャー誌とサイエンス誌には掲載を拒否されてしまいました。

    その後、Psychopharmacology誌というあまり有名でない論文誌に1980年に発表され、2000年代以降は支持する者が増え、引用件数が多くなっています。

    Psychopharmacology誌という論文誌

    2001年、カナダ上院で薬物依存に関する発表

    彼が2001年に、カナダ上院に報告したところによると、

    「従来の金属のケージに閉じこめられ、自己注射の装置に繋がれたラットを使った実験は、”薬物によってストレスを和らげようとする事は、多大なストレスを受けている動物にとっての唯一の手段であり、人間も同じように行動する”ことを示している」としている。

    理論を発表するアレクサンダー

    薬物依存・乱用の原因と対策

    この、アレクサンダーの実験を通して、私たちは多くのことを学ぶことができます。

    依存症とは

    薬物のみに焦点を当てて考えてしまうと、視野が狭くなってしまうので、今度は依存症について考えてみましょう。

    ある事柄が自分ではどうにも止められなくなってしまい、そのことで社会生活に支障をきたしてしまうこころの病気です。

    けれども、これまで病気としての社会的認知が低かったために、多くの場合、本人の意志や倫理の問題とされてきました。

    薬物依存の歴史と似ていると思いませんか。

    私たち人間は、動物と違い多様なストレスの解消方法を持っています。

    しかし、そのストレス解消の手段が依存になってしまうのです。

    多種多様な依存症

    ここで依存症の種類を見てみましょう。

    • スマートフォン
    • SNS
    • インターネット
    • タバコ(ニコチン)
    • お酒(アルコール)
    • セックス
    • ギャンブル
    • 薬物etc

    法律などを考えなければ、それぞれにメリットが確かに存在しています。

    しかし、これが依存になってしまったときに、メリットを超える問題が発生するのです。

    日常生活に支障が出る依存症

    依存症・乱用の原因

    これらの原因は、その行為を行って一時的にストレスを解消できても、その行為をさせるストレス原因を解消できていないからです。

    アルコール依存者からお酒を取り上げたとしても、彼らはどうにかしてお酒を手に入れようとします。

    たとえ一時的にやめられたとしても、お酒を飲まなければやっていけないほど掛かっていたストレスの原因を解消しなければ、再び依存を繰り返すか、別の依存対象を見つける、さもなければその人は潰れてしまうでしょう。

    逃避を目的とした行為は依存になります。

    それがゲームでも、お酒でも、薬物でも違いはありません。

    依存症・乱用の対処・解消法

    ストレスの原因を取り除き、依存対象以外での幸せを獲得させること。

    これに尽きます、日々の生活が幸せで、充実した生活を過ごすことができていれば、人は何かに依存することはありません。

    安定した幸せな生活環境を作り上げることが何よりの対策であり、解決策になるのです。

    充実した生活で依存を治す

    薬物・依存症まとめ

    いかがでしょうか。

    少しでも解決する糸口がつかめたでしょうか。

    依存に悩んでいる人は、”何が自分を、その人をそうさせているのか”という原因を明らかにすること。

    そして、その原因を解消し、依存対象に頼る必要のない豊かな生活環境を整えましょう。

    それは簡単ではないかもしれません。

    また、1人ではとても困難でしょう。

    周囲の人に相談するなどして、孤独にしないように、ならないようにしましょう。

    もし、人に頼れない、頼る相手がいないという方がいましたら当サイトにご連絡ください。

    メールカウンセリングにてお力になります。

    依存症を治すお手伝いをします

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