嫌いな上司・合わない部下と仲良くなる方法2項「頼みごと・お礼」
嫌いな上司・合わない部下と仲良くなる方法はお願いすること
職場などの人間関係に悩む方も少なくないと思いますが、当記事では、”どんなに苦手な人や敵対する人とでも仲良くなれる”特別なテクニックをご紹介します。
それは、”お願い事をすること”です。
ライバルと仲良くなったベンジャミン・フランクリンの逸話
これからの話は、アメリカ合衆国の政治家、著述家、物理学者、気象学者のベンジャミン・フランクリンの逸話から始まります。
フランクリンのことは皆さんもご存知の方も多いと思いますが、政治家として、一番の功績はアメリカ建国の草案を作ったことでしょう。
フランクリンがペンシルバニア州議会議員だったころ、彼はある議員から敵意を向けられて悩まされていました。
その時にフランクリンがとった行動は、
「その議員の持っている珍しい本を借りることでした。」
彼はその議員に本を貸してほしいと手紙を書いたところ、断られることなく、その議員は本を貸してくれました。
そして、その本を返す時にどれほど感激して嬉しかったかを手紙にしたためました。
そうしたところ、次に会った時、その議員は今までにないほど礼儀正しく、親しげにフランクリンに話しかけてきたのでした。
その後、その議員はフランクリンの協力者になったばかりでなく、生涯の親友にまでなったというのです。
「嫌いな上司にも」「合わない部下にも」応用できる心理テクニック
フランクリンの逸話を証明した行動科学者の”頼みごと実験”
後に、この方法は正しかったのかということを確認するための実験が、行動科学者のジョン・ジェッカーとデビッド・ランディにより行われました。
実験の参加者(被験者)たちはある競争に勝って賞金をもらいました。
賞金をもらった参加者たちを二つのグループに分けて、一方には、その賞金は自腹で払ったのだが手持ちのお金が無くなったので、賞金を返してほしいと頼みました。
すると、参加者たちは、同意して賞金を返してくれました。
また、違うグループには、賞金の返金の依頼はしませんでした。
さて、実験者はどちらのグループの人たちから好意を持たれたでしょうか?
普通なら、賞金を返せと言ったら嫌がるのでしょうが・・・。
実験では、両グループの全員に対して、ジェッカーら実験者に対してどのくらい好意的に見ているのかを匿名で答えてもらいました。
そうすると、賞金を返すように頼まれた人たちの方が好意的に見ているのでした。
フランクリンの例のように、誠意をもって頼みごとをすると好意的に見てくれることが証明されたのです。
嫌いな人と仲良くなった理由
しかし、疑問が残ります。仲が悪いのに議員はなぜ本を貸したのかという点と、さらに、議員が好意を持つようになった理由はなぜかということです。
「窮鳥(きゅうちょう=追い詰められて逃げ場を失った鳥)懐に入れば猟師も殺さず」
という言葉がありますが、懐に入ってきた鳥を殺すことはできないという意味です。
自分を信頼して頭を下げて来た人に対して断ることはなかなかできないという意味でもあります。
この心理は、「返報性の原理」によるものですが、「返報性の原理」とは、信頼には信頼で返し、好意には好意で返し、誠意には誠意を持って返すという心理です。
フランクリンは本を貸してほしいと頼みましたが、「返報性の原理」が働いて、この議員はフランクリンが信頼を示したと感じて、そのお返しに本を貸さざるを得なかったというわけです。
それに加えて、お礼状は感謝と喜びという誠意にあふれていましたので、そのお返しに議員も誠意を持った結果、信頼関係が構築されたと考えられます。
合わない人には頼みごとをして、お礼を言いましょう。
以上のことから、人間関係が良くない相手には、お願い事をすることが良いということがわかります。
仲の悪い人に頭を下げるのはなかなかできるものではありませんが、断られて元々ですから、やってみて損はありません。
引き受けてくれた時には、前と後にちゃんと感謝の気持ちを伝えましょう。
そうすれば次に会った時には、今よりもっと仲良くなっているはずです。