心理学的な観察・分析の方法とは?変化に注目するキャリブレーション
職場での同僚や上司との人間関係、取引先の担当者や商談の際の顧客との人間関係を良好なものにしていくことは、ビジネスパーソンにとってとても重要です。
良好な人間関係を構築できれば、あなたの自身の目標を達成するなど成果を出すことに直接影響を及ぼしますし、人間関係によるストレスを軽減して、充実した生活を送ることができます。
今回は相手との信頼関係を築く上級スキル「キャリブレーション」についてご紹介いたします。
心理学的な観察方法−キャリブレーションとは
キャリブレーションとは、本来は「調整する」という意味ですが、神経言語プログラミング(NLP)では「相手の心の状態を認識するための観察」のことをこう呼びます。
ビジネスシーンでとても役立つスキルです。
人は自分の思いや感情を言葉で表現することができますが、言葉が必ずしもその人の心情を正確に表しているとは限りません。
しかし、相手を様々な角度から観察することで、相手の「言葉にしない心情を察知する」ことができます。それがキャリブレーションです。
・声のトーンを観察して心理を分析する
観察すべきポイントのひとつは「声のトーン」になります。
同じ言葉を発していても、心情が異なれば声のトーンも変わってくるからです。
例えば会社で新しいプロジェクトが立ち上げられ、その担当者に抜擢された同僚が、「ぜひ頑張ります」と答えたとします。
額面通りに受け取れば、やる気になって了承したという認識になりますが、その声のトーンがいつもよりも低い場合、実は何か引っかかっている点があるのかもしれません。実は嫌々ながら引き受けざるを得ないだけで、そう答えている可能性もあります。
応用−変化に気づいて仲良くなる方法
このような状況は、相手との信頼関係を構築する絶好のチャンスです。
ネガティブな変化に気づいたのならば、積極的にコミュニケーションをとっていきましょう。
何か疑問や不安を感じていることがあるのではないかと話を聞いたり、アドバイスをしたり、落ち込んでいるようならば励ましたりします。
大事なのは、普通の人であれば気づかない変化に気づき、相手への気づかいをすることです。
そうすることで、「誰も気づいてくれない自分の本心に気づいてくれた」と、相手のあなたへの信頼感は増していくことになります。
・どこに注目して観察するのか
観察すべき点は声のトーンだけではありません。
「表情」も重要です。
いつもよりも冴えないのであれば、やはり何か問題を抱えているということでしょう。
「口角の上がり方」や「眉間のシワ」など細かな部分にも注目してみてください。笑顔であってもいつもとは違うかもしれません。
非言語コミュニケーションの中で人の感情を表現しているものの中では、表情や声のトーンが特に重要です。
ただし、周囲も気づきやすいという特徴があるので、それを隠そうとするかもしれません。
ですから他にも観察すべき点があります。
それが「姿勢」です。
姿勢は無意識にその人の感情を物語っています。
がっかりした気持ちになると人は自然とうつむいたり、うなだれたりするものです。
いつもよりも姿勢が悪くなってないかということも見逃してはいけない重要なポイントのひとつです。
その他にもいつもと「呼吸が違う」「肌の血色が違う」「目の動きが違う」などがあります。
かなり細かな部分になりますが、日頃から相手をよく観察していればその変化にも敏感になれるでしょう。
心理学的な観察・分析「キャリブレーション」をする際の注意点
初対面の相手には使わないようにする
このようにキャリブレーションとは、「いつもの状態との変化に気づくこと」です。
つまり相手のノーマルな状態を知らないと、キャリブレーションは使えません。
実は変化ではなく、それが相手にとって普通の反応かもしれないからです。
つまり自分の経験や先入観だけで、相手の表情や声のトーン、姿勢などから心情を判断しても見当違いになる危険性があるということです。
※キャリブレーションは、「この人はいつも自分を気にかけてくれているんだ」という感動が信頼感の向上に繋がるのであって、他の人より表情が暗く見えるから声をかけていたのでは、周囲との違いを指摘するだけの言動になってしまい効果が期待できません。
ですから初対面の人に対して、いきなりキャリブレーションは使わないようにした方がいいでしょう。
重要なのはまずは日頃の観察です。
相手の表情、相手の仕草、声のトーン、姿勢などに注目し続けることで相手への理解は深まり、それが変化への気づきに繋がっていきます。
キャリブレーションはそれができるようになってからです。
キャリブレーションのやりすぎは逆効果
ただし、相手によっては、必要以上に干渉されたり、心の内に踏み込まれることを嫌がる人もいます。
この場合、信頼関係を構築するにはキャリブレーション以外の別の手段を用いた方がいいでしょう。
また、キャリブレーションばかりをしていると、相手も常に観察されていることに気づきますから、それに対して嫌悪感を抱いてしまうかもしれません。
キャリブレーションのしすぎは、相手に監視されているという思いを与えてしまうことになってしまうのです。
そうなると信頼関係を築くどころか、逆に嫌われて距離を置かれてしまうことになってしまいます。
ですから日頃から観察はしつつも、重要な場面でこそ声をかけることが大切です。
わずかな変化でも常に声をかけるようなキャリブレーションのやりすぎは、逆効果になる可能性もありますので注意してください。
心理学的な観察方法−キャリブレーションのまとめ
このように相手との信頼関係を築くためには、日頃から相手に関心を持ち、様子をしっかり観察しておくことが必要です。
声をかけるタイミングも重要です。
そういった地道な取り組みがあってこそ、キャリブレーションは効果を発揮し、大きな信頼を得ることができるようになるのです。
そしてより多くの人に効果的なキャリブレーションができるようになれば、周囲に良い影響を与えることのできる人材として重宝されるようになるでしょう。
管理職を含めたリーダーには必須の力と言えます。
こうしてあなた自身も、目標達成にぐっと近づくことができるのです。
ぜひキャリブレーションを有効活用してみてください。
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